研究概要 |
神奈川県平塚市、福岡県筑後市、北海道美唄市、タイ国に温室効果ガスフラックス測定装置を設置した。光音響式ガスモニターの性能が仕様と異なる事が判明したが、試行錯誤の末、除湿装置を取り付ける事によってCH4フラックスが測定可能である事がわかった。しかし、除湿するとガスモニターの仕様上、CO2, N20と水蒸気フラックスの測定ができない。そこで、ガスモニターへの吸気ラインを除湿ラインと非除湿ラインの2系統として一定時間毎に切り替える事で、計画通りにCO2, N20, CH4ガスフラックスを同時に測定することが可能となった。本研究で採用した選択的サンプリング渦集積法により測定した顕熱フラックスと潜熱フラックスは、従来法による測定値と極めて良好に一致した。この事から、他の温室効果ガスにおいても正確なフラックス測定が可能であると推測できた。しかし、水田における温室効果ガス濃度が大気中の濃度に非常に近く、ガスモニターの測定下限値に近い事と上下向き風に含まれる温室効果ガスの濃度差がガスモニターの最大分解能よりも小さい事が多いことから、1年間を通した精度の高いガスフラックスの測定が困難である事が判明した。また、環境条件が非常に過酷な屋外でのガスモニターの連続運転は、極めて困難である事も分かった。従って、測定装置を設置した4カ所において計画のように同時期に温室効果ガスフラックスを測定して比較する事ができなかった。
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