研究分担者 |
位田 晴久 宮崎大学, 農学部, 教授 (60151768)
川満 芳信 琉球大学, 農学部, 准教授 (20192552)
尾崎 行生 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (60253514)
渡部 由香 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (70244267)
安永 円理子 九州大学, 生物環境調節センター, 助教 (00380543)
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研究概要 |
施設園芸生産において過剰昇温の回避を目的とした施設冷房が注目されているにもかかわらず,とくに問題となりうる西南暖地においてその導入が進んでいないことに鑑み,冷却システムの降温効果を定量的に評価し,その降温に対する植物反応の解析から,冷却がもたらす生産性向上効果について評価することを目的とした.まず,各研究拠点の施設において冷房下で生育させた園芸作物の環境反応について各種生体計測技術を援用して解析を試みた.しかし,施設冷房の効果に関する普遍的なデータが得られず,定量的な評価はきわめて困難であった.これは,日中の強光・高気温下にヒートポンプでは十分な排熱に至らないため主な過剰昇温対策として効率的な換気と間歇的な細霧冷房などの蒸発冷却法が援用されるが,間歇的な細霧冷房では経時的な気温の乱高下が作物の体温,水収支や生理的過程に偶発的な影響をもたらし,結果として生育,収量や収穫物の品質について大きな偏差を生じさせると考えられた.また,冷房の稼動と停止が繰り返される環境制御法においては冷房停止時に過渡的に著しい高温へ推移することによる障害(あるいは馴化の妨げ)のために長期的ストレスも軽減できないことが示唆された.局所的冷却については高温の影響が水収支,光合成,転流,器官生長におよぶ場合は冷却の意義が不明確で,局所冷却による降温の作用か,その動作による副次的効果か,という観点からも効果が疑問視された.これらを総括し,冷却技術の仕様や特徴を整理したうえで有効な施設冷房法について提言すべく情報をとりまとめた.これらの成果については日本生物環境工学会等で研究者や生産者等に紹介した.
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