研究課題/領域番号 |
18208023
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
古瀬 充宏 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (30209176)
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研究分担者 |
豊水 正昭 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (80180199)
村井 篤嗣 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (10313975)
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キーワード | エネルギー代謝 / 体温 / 呼吸商 / 基質 / 血管作動性腸ペプチド / グルカゴン様ペプチド-1 / α-メラニン細胞刺激ホルモン / 下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド |
研究概要 |
脈管作動性ペプチドである血管作動性腸ペプチド(VIP)と下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(PACAP)はグルカゴンファミリーに属し、共通の受容体に結合する。しかし、PACAPはそれに特異的な受容体にも結合することが知られている。両ペプチドをヒナの脳室に投与したところ、VIPは直腸温に影響を及ぼさないが、エネルギー消費量を減少させた。一方、PACAPは体温ならびにエネルギー消費量を高めることが判明した。同ファミリーに属するGLP-1は、酸素消費量、二酸化炭素排泄量ならびにそれらから計算したエネルギー消費量に影響を及ぼさないことが判明した。しかし、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)により呼吸商は低下し、エネルギー源として使用する基質を糖質から脂質に切り替える作用を有することが明らかとなった。これは、血漿遊離脂肪酸濃度の上昇し、血糖値の低下により確認された。摂食抑制ペプチドであるα-メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)のエネルギー代謝に及ぼす影響を調べたところ、酸素消費量、二酸化炭素排泄量ならびにエネルギー消費量に影響を及ぼさず、また、行動量にも変化を与えなかった。しかし、GLP-1と同様に呼吸商を低下させ、エネルギー基質を糖質から脂質に切り替えることが明らかとなった。次いで、既に市販の肉用型ブロイラーと卵用型レイヤーで明らかにしている鶏胚のエネルギー代謝の違いが、肉用型と卵用型への育種選抜が行われている名古屋種においても当てはまるかについて検証を行った。その結果、以前に得た結果と同様に肉用型でエネルギー消費量が低いことが確認された。これらの結果をもとに、受精卵のエネルギー消費量は育種選抜の指標となることが示唆された。
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