研究概要 |
卵子(雌)ゲノムから構成されるマウス胚(二母性胚)の個体発生能を、インプリントとの関連から追及した。卵母細胞の核移植ではインプリント型を改変できない2セツトの父性インプリント遺伝子に注目した。一つは、マウス7番染色体遠位部に存在するIgf2-H19遺伝子、他の1セツトは12番染色体遠位部にあるDlk1-Gtl2遺伝子である。Igf2-H19遺伝子については、母方発現するH19遺伝子の転写領域と転写調節領域の計13kbを欠損したマウス(H19Δ13)を従来通り使用した。一方、Dlk1-Gtl2遺伝子の発現改変には、あらたに(Gtl2の上流にある転写調節領域(IG-DMR, intergenic differentially methylated region)を欠損させたマウスを導入し)活用した。このIG-DMR欠損マウスでは、雌アレルか6のGtl2の発現が抑制され、一方発現が抑制されていたDlk1の発現が活性化され、雄アレル型の遺伝子発現パターンを示す。これら2種の遺伝子欠損マウスを交配し、両遺伝子アレルを欠損した雌マウス新生仔を生産した。この新生仔より非正長期卵母細胞を採取し、二母性胚を核移植により作出して、高率に個体発生させることに成功した。また、マイクロアレイにより、二母性胚の遺伝子発現プロフアイルを作成し、受精胚と比較検討している。さらに、それらの胚からES細胞の樹立を開始した。
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