研究課題
本研究の最終的な目標は、糖、脂質、ケトン体の生体レベルを総合的に感知し、摂食と生殖、エネルギー代謝を制御する「エネルギーセンサー」としての上衣細胞の役割を明らかにすることである。(1) 上衣細胞のエネルギーセンサーこれまでに上衣細胞に内在し、摂食、生殖、エネルギー代謝を制御する血糖、脂肪酸、ケトン体のセンシングメカニズムの存在を明らかにしている。血糖センサーについては、AMP依存性キナーゼを介したセンシングメカニズムについて、また脂肪酸及びケトン体のセンサーについてはそれぞれβ酸化阻害剤や輸送担体の阻害剤を用いて、センシングの存在を直接明らかにしている。このことは、上衣細胞が糖、脂肪酸及びケトン体というエネルギー基質のレベルを感知しつつ、エネルギーレベルの情報を統合していることを示すユニークな結果である。(2) センサーから摂食・生殖・エネルギー代謝へ至る神経内分泌系路またこれらセンサーから、摂食行動や生殖機能、エネルギー代謝を制御する神経内分泌系へと至る経路およびそれを仲介する神経伝達物質あるいは神経ペプチドについても一部を明らかにできた。すなわち、脂肪酸およびケトン体の感知についても、血糖同様、延髄から室傍核に至るノルアドレナリン作動性神経が主役となっていること、また、ケトン体の感知については、AGRPやNPYなどの摂食ペプチドが働いていることを明らかにした。すなわち、後脳上衣細胞にあるエネルギーセンサーにより感知された情報は、後脳より視床下部に入力するノルアドレナリン作動性神経など特異的な神経経路により視床下部に伝えられることにより、摂食や生殖を制御していると考えられる。(3) 応用への可能性糖尿病などのケトーシスでは血中ケトン体上昇により、過食が起きるが、これら上衣細胞におけるセンシングメカニズムを逆用して、糖尿病などの代謝疾患時における摂食や生殖異常を治療できる可能性も示した。
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Journal of Neuroendocrinology (in press)
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