研究課題/領域番号 |
18208026
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
堀内 基広 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (30219216)
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研究分担者 |
落合 謙爾 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 助教授 (80214162)
稲波 修 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 助教授 (10193559)
木村 和弘 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (30192561)
瓜生 匡秀 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 博士研究員 (00399990)
大島 正伸 金沢大学, がん研究所, 教授 (40324610)
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キーワード | プリオン / スクレイピー / DNAマイクロアレイ / BSE / 神経変性 / ミクログリア / アストロサイト |
研究概要 |
プリオン病に罹患した動物の神経組織では異常型プリオン蛋白質(Prp^<Sc>)が蓄積し神経変性が生じるが、神経変性機序は"Prp^<Sc>の存在=神経変性の原因"だけでは説明できない。Prp^<Sc>の増幅過程で生じる宿主細胞の変化に加えて、アストロサイト、ミクログリアなどの神経細胞以外の神経組織を構築する細胞の関与も注視する必要がある。プリオン病の臨床期中期〜病末期では神経変性の初期過程から末期過程までが混在しているため、神経変性を引き起こす変化と、神経変性後の代償性変化を区別することが難しい。そこで.プリオン感染の初期過程を解析の標的として、病変形成・神経変性に伴い変動する宿主因子を網羅的解析した。 マウス順化Obihiro株、Chandler株感染マウスを、プリオン接種後60、74、および90日目に安楽殺し脳を採材した。陰性対照として、正常マウス脳乳剤を接種したマウスを用いた。実体顕微鏡下で、視床背外側、扁桃体、視床下部および延髄前庭核の領域を採材した。Total RNAを向収し、GeneChip Mouse430_2(Affymetrix)を使用してDNAマイクロアレイ解析を実施した。Obihiro株、Chandler株では発症(接種後約120日)および病末期(接種後約150日)に至る期間に差はないが、遺伝子発現を比較するとChandler株感染マウスで、Obihiro株より早期に宿主反応が起こっていた。特に前庭核では接種後60日の時点ですでに、cxc11Oやcxc113などのケモカインの発現増加、ノルアドレナリンの合成に関与する酵素遺伝子の発現が低下していた。来年度もDNAマイクロアレイ解析を継続するとともに、感染初期に変動が認められる遺伝子とプリオン病病態形成の関係を、これらの欠損マウス、抗体、あるいは阻害剤等を用いて調べる予定である。
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