研究概要 |
細胞分裂時には,適切なタンパク質が適切な時期に適切な細胞膜部位に運ばれたり,そこから取り除かれたりしなければならない.本研究の過程で,分裂間期にはゴルジ体やエンドソームに局在するタンパク質のうちで,細胞質分裂時にミッドボディーに局在するものがあることを発見した.そこで,小胞輸送関連タンパク質(ARFやRab,およびそれらのエフェクタータンパク質),およびユビキチン結合タンパク質やESCRTタンパク質の細胞質分裂時の局在変化や役割について解析した. 1.Tom1L1はユビキチン(Ub)結合タンパク質であり,分裂間期には後期エンドソームに局在する.一方,Tsg1O1はESCRT-I複合体のサブユニットであり,Ub化されたタンパク質を認識して,後期エンドソームへの輸送を調節する.以前の研究で,Tom1L1はTsg1O1相互作用することを明らかにしていた.本研究によって,Tom1L1はTsg1O1と結合することによって分裂間期に後期エンドソームにリクルートされるとともに,細胞質分裂時にはミッドボディーマトリックスにリクルートされることが明らかになった.これらの結果は,分裂間期には後期エンドソームで機能するUb結合タンパク質によって,細胞質分裂の過程が調節される可能性を示唆する. 2.FIP3とFIP4はリサイクリングエンドソームに局在し,Rab11およびARF6に結合する.sIRNA解析などによって,FIP3/FIP4は分裂間期にはRab11依存的にリサイクリングエンドソームに局在するのに対して,細胞質分裂時にはRab11依存的にミットボディーに局在することが明らかになった.また,免疫蛍光法やタイムラプス解析などによって,2つの娘細胞の間の切断時には,FIP3/FIP4はARF6とミットボディーマトリックスに共局在することが明らかになった.
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