これまでの研究過程で、細胞内での小胞輸送に関与する低分子量GTPase(Arf6やRab11)、およびそれらのエフェクタータンパク質(Rab11-FIP/Arfophilin、MKLP1)が、細胞質分裂の際にミッドボディー近傍に局在するようになることが判明していた。また、ユビキチン化タンパク質やユビキチン化タンパク質を認識するタンパク質(Tsg101など)がミッドボディー近傍に局在するようになることが判明していた。 そこで、上記のエフェクターに関して、siRNA法により発現抑制した培養細胞やドミナントネガティブ変異体を発現した細胞における小胞輸送の変化や細胞の形態、細胞分裂の変化などを観察することにより、それらの小胞輸送と細胞質分裂における機能の比較を行った。さらに、これらの低分子量GTPaseやエフェクターに関して、GFPやmCherryのような蛍光タンパク質との融合タンパク質の発現ベクターを作製して培養細胞内で発現させ、タイムラプス顕微鏡法により細胞分裂時におけるこれらのタンパク質の細胞内局在の経時変化を観察した。 その結果、Arf6は、収縮環近傍から、MKLP1やTsg101が既に存在しているミッドボディーへとリクルートされることを見いだした。また、Arf6やMKLP1、Tsg101をsiRNA法により発現抑制すると、二つの核や複数の核を持つ細胞の割合が顕著に増えることから、細胞質分裂の過程が阻害させていることが判明した。さらに、Rab11-FIP/Arfophilinは、分裂しつつある細胞の中心体付近から、リサイクリングエンドソームとともにTsg101やArf6が存在するミッドボディーへとリクルートされることを見いだした。
|