研究課題/領域番号 |
18209004
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
工藤 一郎 昭和大学, 薬学部, 教授 (30134612)
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研究分担者 |
原 俊太郎 昭和大学, 薬学部, 講師 (50222229)
桑田 浩 昭和大学, 薬学部, 助教 (80286864)
新原 智子 昭和大学, 薬学部, 助教 (60266161)
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キーワード | ホスホリパーゼA_2 / ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス / リン脂質 / 精子 / ミトコンドリア / 筋肉 / 脂肪組織 |
研究概要 |
本研究では、哺乳動物に20種類以上存在するPLA_2の分子種のうち、その生体内機能について不明な点が多い分子種のトランスジェニック(Tg)およびノックアウト(KO)マウスを用い、各々の酵素の生体内機能を解明することを目的としている。本年度は、以下の点を明らかにした。1.sPLA_2-III遺伝子改変マウスの解析:sPLA_2-III KOマウス由来の精子は、凝集性が高く運動性が著しく低下しており、体外受精した場合、野生型精子に比べ受精卵の顕著な減少が認められた。精巣上体における精子の成熟にsPLA_2-IIIが深く関わる可能性が考えられた。また、sPLA_2-III Tgマウスでは受動性皮膚アナフィラキシー(PCA)反応の増強、KOマウスでは反応の減弱が観察された。現在、このメカニズムについて検討中である。2.sPLA_2-X遺伝子改変マウスの解析:sPLA_2-X KOマウス由来の精子を体外受精に用いた場合も、sPLA_2-IH KOと同様に、受精卵の顕著な減少が認められた。しかし、精子の運動性には異常がないことから、受精反応そのものにsPLA_2-Xが関わると考えられた。3.iPLA_2-γ遺伝子改変マウスの解析:iPLA_2-γTgマウスは胎生3.5-6.5日に死亡することから、iPLA_2-γの過剰発現が胎児の発育に重篤な影響を及ぼすことが明らかとなった。一方、iPLA_2-γKOマウスは正常に生まれ、外見上出生後4週目までは野生型マウスと大きな差が見られなかったが、4週目以降から野生型マウスに比べ低身長、低体重を示し、加齢と共に背骨の湾曲が観察された。KOマウスでは筋力が顕著に低下しており、萎縮した筋線維が多数認められた。さらに、KOマウスの筋肉組織には、巨大化しクリステ構造が異常なミトコンドリアが存在しており、ATP量が減少していることも明らかとなった。iPLA_2-γはミトコンドリアの機能あるいは構造の維持に重要な役割を担っている可能性が示唆された。
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