研究課題/領域番号 |
18209004
|
研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
原 俊太郎 昭和大学, 薬学部, 教授 (50222229)
|
研究分担者 |
新原 智子 昭和大学, 薬学部, 助教 (60266161)
中谷 良人 昭和大学, 薬学部, 講師 (80266163)
桑田 浩 昭和大学, 薬学部, 助教 (80286864)
|
キーワード | ホスホリパーゼA2 / ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス / リン脂質 / アラキドン酸代謝 |
研究概要 |
本研究では、哺乳動物に20種類以上存在するPLA2の分子種のうち、その生体内機能について不明な点が多い分子種のトランスジェニック(Tg)およびノックアウト(KO)マウスを用い、各々の酵素の生体内機能を解明することを目的としている。本年度は、以下の点を明らかにした。 1.sPLA2-III遺伝子改変マウスの解析:昨年度の本研究で、sPLA2-III KOマウスでは精子の運動性が著しく低下していることを明らかにしたが、本年度はさらにKOマウスにおいて、精巣上体における精子の機能に関わる遺伝子群の発現低下、精子の尾の超微細形態の異常を見出した。sPLA2-IIIは精巣上体の起始部から頭部の管腔上皮細胞に強く発現しており、この部位における精子の機能的成熟に深く関与すると考えられた。また、高脂肪食を負荷すると、sPLA2-III Tgマウスでは肥満、脂肪肝の増悪化が見られるのに対し、KOマウスでは逆に、肥満、脂肪肝が抑制されることも見出した。sPLA2-IIIは生活習慣病の進展にも深く関わることが予想される。さらに、sPLA2-III KOマウスでは即時型アレルギー反応が減弱しており、これは肥満細胞の分化成熟の異常によることも明らかにした。 2.sPLA2-X遺伝子改変マウスの解析:sPLA2-X KOマウス由来の精子では、アクロソーム反応の減弱が観察された。 3.iPLA2-γ遺伝子改変マウスの解析:iPLA2-γ KOマウスでは脂肪量の減少が見られた。そこで、野生型およびKOマウスの胎児よりそれぞれ初代培養線維芽細胞(MEF)を調製し、in vitroで脂肪細胞に分化させたところ、KOマウス由来細胞では脂肪蓄積、脂肪細胞特異的遺伝子の発現が野生型マウス由来の細胞に比べて低下していた。iPLA2-γは脂肪細胞分化を制御していることが示唆された。
|