研究課題/領域番号 |
18209008
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松崎 一葉 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (10229453)
|
研究分担者 |
桜井 武 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60251055)
入鹿山 容子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (90312834)
|
キーワード | 睡眠覚醒 / オレキシン / トランスジェニックマウス / パッチクランプ / ペプチド |
研究概要 |
オレキシン産生ニューロンに特異的にGFPを発現させたマウスから調整した視床下部のスライス標本をもちいて、オレキシン産生ニューロンのパッチクランプ実験を行い、どのような分子がオレキシン産生神経の活性化、あるいは抑制に関与しているかを解明してきた。今年度は、ヴァソプレッシンやコリン作動性アゴニストによって活性化することを見いだした。この活性化機構に関し、ヴァソプレッシンとアセチルコリンによる活性化の細胞内機構を明らかにし、それぞれV1a受容体とM3受容体の活性化、および非選択性カチオンチャネルの活性化を介していることを見いだした。また、オレキシン産生ニューロンは絶水時に水場を探索するために必要な活動レベルや覚醒レベルの維持に必要であることが明らかとなり、またこの系にヴァソプレッシンによるオレキシンニューロンの活性化が関与していることを明らかにした。一方、オレキシン産生ニューロンにおける各種受容体の生理的役割を明らかにするためにCre recombinaseがオレキシン神経特異的に発現するマウスを作成した。このマウスをもちいて様々な受容体がオレキシンニューロン特異的に欠損するマウスを作製し、その表現型を解析する予定である。本年度は、GABAB1受容体をオレキシン産生神経特異的に欠損させたマウスを作製した。このマウスでは、睡眠・覚醒ステージの顕著な分断化が起こっていた。またこのマウスでは、オレキシン神経に対するGABAA受容体を介したIPSCが亢進していた。コントロールではオレキシン投与によりオレキシン神経へのIPSCが亢進すること、逆に、GABAB1 cKOマウスでは、OX1受容体拮抗薬によりコントロールと同程度まで抑制性入力が減少することから、オレキシン神経末端では、オレキシン分泌の亢進が起こっており、介在神経による反回抑制系が亢進していることが示唆された。
|