研究課題/領域番号 |
18209012
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
服巻 保幸 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (90128083)
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研究分担者 |
岩城 明子 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (30253454)
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キーワード | 統合失調症 / グルタミン酸 / 関連解析 / 多型 / ハプロタイプ / ノックアウトマウス / 発現解析 / 行動解析 |
研究概要 |
1) 統計遺伝学的解析:統合失調症のグルタミン酸伝達異常モデルに基づき、III型メタボトロピックグルタミン酸受容体遺伝子GRM4とGRM7について解析を行った。まずGRM4については8個、GRM7については43個のSNPを選択した。100ペアのケース・コントロールサンプルを用いて単点およびハプロタイプ関連解析を行った。GRM4については関連が認められなかったが、GRM7の2つのSNPについてハプロタイプで関連が認められた。またこの有意差はFalse Discovery Rateによる多重検定の補正後も消失しなかった。そこでこの2つのSNPにつきサンプルを追加して(合計404のケースと420のコントロールサンプル)解析を行ったところ、有意差が認められた。以上の結果から、GRM4については日本人の統合失調症発症への主要な関与はないが、GRM7は疾患感受性遺伝子と考えられた。 2) 個体レベルでの機能解析:先に関連を報告しているメタボトロピックグルタミン酸受容体3型遺伝子GRM3の統合失調症への関与を機能的に検討するために、mGluR3の膜貫通ドメインを欠損させたmGluR3ノックアウトマウスを作出した。C57BL/6系マウスへの戻し交配を7世代まで終了し、発現解析とともに行動解析を実施した。統合失調症患者で機能異常が示唆される前頭前野のRNAを用いたマイクロアレイによる発現解析の結果、本疾患への関与が報告されている14遺伝子、39個の神経分化への関与が知られる遺伝子、20個の行動に関わる遺伝子の発現に変化が見られた。また行動解析の結果、統合失調症のエンドフェノタイプとして知られる運動量の亢進、ワーキングメモリーの障害が見られ、病態への関与が示唆された。
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