研究課題
1 RIG-Iは非自己RNAを特異的に識別する重要な機能を果たしているが、この識別がカルボキシル末端に存在する約17kDのドメインによって行なわれていることを明らかにした。さらにこのドメインの結晶構造(文献2番)および溶液構造をNMR法(文献1番)によって明らかにした。またNMRを用いたRNAによる滴定実験によって、このドメインの塩基性に富む片側表面がRNAの特異認識に関与していることを発見した。また、MDA5およびLGP2のカルボキシルドメインの溶液構造を決定した。RIG-IとLGP2の立体構造は特に良く類似しており、RNA認識に関与していると考えられる「RNA結合ループ」の構造が特にこの両者で保存されていた(文献3番)。2 ヒトでのRIG-IおよびMDA5の遺伝的多型がデータベースに登録されている。そのうちミスセンス変異、ナンセンス変異によって蛋白質の構造に変化を生じるものについてその機能を解析した。RIG-Iについては一つの変異(S183I)が活性を失い、ドミナントネガティブに阻害効果を示した。この変異を持つ個体は抗ウイルス自然免疫応答が顕著に低いことが予想された。MDA5に関しては二つの変異(E627*,I923V)が活性を失う変異であることが明らかとなった。これらの変異はI型糖尿病の低リスクとの関連が報告されており、MDA5の活性化とI型糖尿病の発症の関連が強く示唆された(文献4番)。
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J, Biol. Chem
J. Biol. Chem
Molecular Cell 29
ページ: 428-440
ページ: 169-179