研究課題/領域番号 |
18209017
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
黒崎 知博 独立行政法人理化学研究所, 文化制御研究グループ, グループディレクター (50178125)
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研究分担者 |
疋田 正喜 独立行政法人理化学研究所, 文化制御研究グループ, 上級研究員 (60228715)
饗場 祐一 独立行政法人理化学研究所, 文化制御研究グループ, 研究員 (00273516)
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キーワード | BCR / PKCβ / CARMA1 / Bcl10 / IKKβ |
研究概要 |
獲得免疫系の最大の特色は、その多様性および寛容性である。無数の外来性抗原(非自己)を認識し、反応する一方、自己抗原に対して不応答性を示すという(寛容性)、極めてユニークなシステムを築き上げている。この機能を担っているのはB細胞の場合、B細胞レセプター(BCR)である。したがって、BCRを介する抗原認識によって引き起こされるシグナル伝達機構の研究は、B細胞の分化・増殖・細胞死の運命制御機構を解明するための必須の課題である。BCRを介するシグナルの第一段階に、複数のチロシンキナーゼ(PTK)群が関与することは明らかにされてきたが、これらPTK群のみの制御では、多様な運命決定を説明することはできない。すなわち、PTK群によってリン酸化されるターゲット分子群の多様性を考えると、これらターゲット分子群がエフェクター群へのアダプターとして機能し、エフェクターへの変換効率を制御することにより、シグナルの量的・質的変換を司っているのではないかと考えられる。 本年度は、アダプター分子CARMA1に的を絞り、CARMA1がどのようなメカニズムを用いてNF-κBの活性化を制御しているかの研究を行った。種々のノックアウト細胞を用いた生化学的解析により、1)まずPKCβが活性化され、活性化されたPKCβが、CARMA1の中央部(リンカー領域)に存在するSer残基をリン酸化し、CARMA1がその下流の分子Bcl10と結合すること、2)CARMA1,Bcl10が結合することにより、結果的に、その下流のIKKβが活性化されること、3)活性化されたIKKβは、より上流のcARMA1のN末のThr残基をさらにリン酸化することにより、positive-feedbackループを形成すること、の三点が明らかになった。
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