研究概要 |
本研究では、BCRシグナルに関して、アダプター分子群BLNK, BCAP, BANK, CARMA1に的を絞り、レセプター群/アダプター群/エフェクター群間のカップリング機構を明らかにしてきた。具体的には、主として、以下に述べる3点を明らかにしてきた。 1.CARMA1はPKCβ, IKKによりリン酸化される。CARMA1はNF-kB活性化に必須の分子である。本期間中に、CARMA1のリン酸化サイトを複数同定し、(1)Ser668はPKCβによりリン酸化され、初期のIKK活性化に必須であること、(2)Ser557のリン酸化は一旦活性化されたIKKにより担われていることを明らかにした。 2.BCAPはCD19と協調してPI3キナーゼ(PI3K)を細胞膜にリクルートし活性化するのに必須の役割を担っている。アダプター分子BCAP同様CD19はPI3K結合分子である。B細胞においてはBCAPがCD19と協調してPI3K活性化に必須の役割を担っていると考えられている。この可能性を直接検討するためにCD19/BCAPダブル欠損マウスを作製した。事実この2分子欠損B細胞では殆どPI3K活性化が認められず、その結果としてBリンパ球はpre-BCRの段階で発生が阻害されていることが判明し、申請者らが考えている可能性を強く支持した。 3.BLNKはSOCチャンネルの活性化に必須である。BCR刺激依存性カルシウム流入は、先ず細胞内ブールのカルシウムが細胞質にreleaseされ、その後細胞膜に存在するSOCチャンネルが開口すると考えられている。BLNKはPLCγ2活性化に必須の役割を担っているが、本期間中にBLNKは、おそらくチャンネルゾームを形成するのに寄与して、SOCチャンネル開口に重要な役割をしていることを明らかにした。
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