研究分担者 |
杉森 裕樹 大東文化大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20276554)
赤松 利恵 お茶の水女子大学, 人間文化創生科学研究科, 講師 (50376985)
吉池 信夫 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 健康・栄養調査研究部, 主幹 (80240232)
内藤 真理子 名古屋大学, 医学研究科, 講師 (10378010)
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研究概要 |
初年度の成果を受けて本年度は下記の課題について検討を進めた。NPOインターネット医療協議会によるEヘルス倫理コードversion2を用いて、前立腺がん検診に関するWeb情報の評価を実施した。検索エンジン(Google、 Yahoo!)を使って、「前立腺がん+検診」の用語で検索した結果、上位50内にヒットしたページの運営主体者で一番多いのは、市区町村自治体等の公的機関で、ページの内容は主に検診の案内に関するものであった。前立腺がん検診のbenefitとriskの双方の情報提供を行っているサイトは少なかった。またPSA検査に関する説明やその後の確定診断のための検査に関する情報、確定診断時の治療法に関する情報も十分でなく、情報の提供のあり方に、課題があることが示された。 義務教育レベルからの(ヘルス)リテラシーの学習の重要性の認識により、健康・医療情報の提供の現状について全教科の教科書427冊を対象とした実証研究に着手した。調査者2名が独自に採録したものを突合し、合意を得た後に分析対象として計21,836件(小学校7,016件、中学校14,823件)を抽出した。このデータから、本年度は中学校の保健体育教科書における性教育と小学校用教科書における葬送儀礼の記述について学会発表を行った。今後、記載情報について逐次分析を進め、基礎的な資料を作成する。義務教育における健康情報リテラシーの教育プログラムの開発に向けて、京都大学ジュニアキャンパス(平成19年9月29日)の機会を利用してパイロット・プログラムを提供した。11人の中学生と6人の保護者の参加を得て、新聞に掲載された広告を素材として小集団討議を行い、疫学的の基本的な考え方(分母・分子、バイアス、交絡、比較の重要性など)の解説を行った。参加者の感想からプログラムに対する積極的な興味と好奇心がうかがわれた。身近な題材を用いた体験学習的なリテラシー教育プログラムの受容性、実現可能性は高く、次年度に向けてさらに検討を進める。
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