研究課題/領域番号 |
18209022
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 洋 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40125571)
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研究分担者 |
仲井 邦彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00291336)
亀尾 聡美 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (40312558)
黒川 修行 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30431505)
佐藤 智恵子 東北大学, 大学院・医学系研究科, 技術補佐員 (10374927)
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キーワード | メチル水銀 / セレン / 胎児期 / 環境中毒 / 交絡作用 / 行動 / 生物濃縮 / 神経毒性 |
研究概要 |
メチル水銀(MeHg)は強い神経毒性を持っており、感受性が高い胎児期の曝露の生後の発達におよぼす影響が懸念されている。MeHgによる曝露の今日的な特徴は、低濃度であるが故に、種々の交絡要因を考える必要があることである。セレン(Se)は、必須微量元素でありヒト集団での欠乏も報告されており、Se欠乏が交絡要因となりえるものと考えられる。そこで本研究では、MeHgの毒性を軽減すると考えられているSeに着目し、動物実験においてMeHg胎児期曝露の影響へのセレンの交絡作用を検討した。 19年度は、12週齢以降の行動観察、および67週齢での神経行動学的解析を行った。実験群は、MeHg(Hg濃度として)を、0または1ppmとし、Se充足群(亜Se酸を添加。Se濃度:0.4ppm)、Se欠乏群(飼料中Se濃度:0.03ppm以下)で、2つの条件の組み合わせで4組である。昨年度(18年度中)に、C57BL6Crマウス8週齢の雌に4週間、上記の実験群毎の飼料を与えた後、非曝露の雄と交配させ仔マウスを得た。出生後3週間で離乳させ、離乳後も各群それぞれの飼料にて飼育を継続した。行動観察の結果、43週齢頃よりマウス歩行時に後肢の動きに違和感(後肢の跛行)のある個体が観察された。67週齢では、オープンフィールド試験の結果、Se欠乏群で潜時の短縮が見られた。歩行時の後肢の跛行については、71週齢において、セレン欠乏群でMeHg曝露により跛行個体数が顕著に増加した。MeHgが1ppmという低濃度であったが、セレン欠乏した場合にMeHgの毒性が顕在化してくることを示した。これらは、セレンがMeHg毒性に対して防御的に作用していることを示す結果と考えられる。
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