1.平成20年度は、昨年度に引き続き福岡県久山町の一般住民を対象に包括的な生活習慣病予防健診を実施した。既往歴・家族歴の聴取、喫煙・飲酒習慣・身体活動度の調査、食事調査、身体計測、随時血圧測定、医師の診察、眼科検診、検尿、血計、血液生化学検査、心電図検査、胸写、骨密度測定を行った。 2.平成19年度におこなった久山町生活習慣病予防健診と家庭血圧のデータを分析した。久山町住民3086名が家庭血圧を測定した。そのうち、健診を受診した3026名について解析を行った。年齢は63±12歳(平均±標準偏差)であった。朝の血圧は、起床後1時間以内の排尿後かつ朝食前かつ服薬前に測定した。朝の家庭血圧の平均値は、収縮期血圧132±18mmHg、拡張期血圧77±10mmHg、脈拍数の平均値は66±8/分であった。健診時血圧の平均値は、収縮期血圧132±19mmHg、拡張期血圧79±10mmHg、脈拍数の平均値は73±11/分であった。健診時血圧を使っての高血圧を収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上、または降圧薬の服用、家庭血圧による高血圧の定義を収縮期血圧135mmHg以上、拡張期血圧85mmHg以上、または降圧薬の服用者とした。この二つの定義で両者ともに高血圧を定義されたのは1330名(44%)で、白衣性高血圧者は139名(5%)、仮面高血圧者は313名(10%)であった。 3.久山町住民の予後調査を以下の方法で行った。 (1)平成20年度の健診受診者から循環器疾患の罹患が疑われる者を抽出した。 (2)健診未受診者全員にアンケートを送り、循環器疾患の罹患が疑われる者を抽出した。 (3)久山町研究の追跡ネットワークを通じて、循環器疾患の罹患が疑われる者を抽出した。 (4)循環器疾患の罹患が疑われる者については、往診し、病歴・診察所見・検査所見など臨床情報を収集した。 (5)死亡例については、臨床情報を収集し、病理解剖の承諾を得るように努めた。 (6)解剖承諾例については、九州大学大学院病理学教室で解剖し、死因および臓器病変を調査した。 (7)定期的に研究スタッフの会議を開き、循環器疾患罹患および死因の最終診断を決定した。
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