研究課題/領域番号 |
18209025
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石井 晃 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30252175)
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研究分担者 |
金子 理奈 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (70367697)
平田 ゆかり 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (50156676)
平岡 賢三 山梨大学, クリーンエネルギーセンター, 特任教授 (80107218)
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キーワード | 高速液体クロマトグラフィー / 質量分析 / エレクトロスプレー / ナノスケールLC / UPLC |
研究概要 |
本年度は、昨年度に引き続いてUPLC/MS/MSと、nanoLC/MS/MSとの比較を行った。nanoLC/MS/MSでは、20種類のベンゾジアゼピン系薬物のうち、18種類が10ないし100pg on-columnの感度で、MSスペクトルないしMS/MSスペクトルの採取が可能であった。また、毛髪試料では、一試料あたり1ないし5ng含有している試料で薬物の同定が可能であった。しかしながら、流速等、諸パラメータの最適化が著しく困難であるため、これらの条件設定をさらに精緻化すれば、現在得られている感度の10倍程度の感度の向上が見込まれる。一方、UPLC/MS/MSは、5分以内で全薬物の溶出が完了し、これはnanoLC/MS/MSが約30分必要とすることと比較すると、スループットネスで優れている。しかし、UPLC/MS/MSは、短時間で薬物が溶出されるため、一つの薬物のピークあたりのデータポイントが少なく、スペクトルの質が劣ることが欠点である。特に、薬物の同定を行うためには、MS/MSモードでの測定が必要であるが、このモードでは、UPLC/MS/MSはnanoLC/MS/MSと比して感度が劣る。また、海産毒等の超高分子の同定にはUPLC/MS/MSは適していない。他方、nanoLC/MS/MSは操作性が煩雑で、メンテナンスにも注意が必要であり、一般のスクリーニング検査を行うには煩雑すぎると考えられる。加えて、nanoLC/MS/MSでは、ブチロフェノン系薬物やベンゾジアゼピン系薬物のそれぞれの薬物群について、異なる条件設定が必要であることが分かった。従って、結論としては、一般的なスクリーニング時にはUPLC/MS/MS、その後の同定や、毛髪等の超微量のサンプルからの薬物同定、超高分子の同定にはnanoLC/MS/MSが推奨される。
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