研究課題
基盤研究(A)
樹状細胞や神経、皮膚ランゲルハンス細胞、骨細胞などは、細胞表面に多数の樹状突起「デンドライト」を発現し、デンドライトを介して多様なストレスを生体内gateway(ストレスセンサー)として受容する。細胞内では、デンドライトで受容しストレスを化学的シグナルに変換して多様な生体防御反応過程をイニシエーションする。平成20年度までに、(1)免疫系におけるデンドライトを介するシグナルネットワークの解明(田中担当)、(2)神経系デンドライトおよび軸索終末での相互情報伝達機構の解明(上田担当)、(3)デンドライトを介する骨系細胞ネットワークの役割の解明(中村担当)、(4)表皮デンドライト細胞と角化細胞とのシグナルネットワークの解明(戸倉担当)、(5)外界ストレスに対するdendrite細胞の生体防御反応の基盤を担うクロマチン複合体/転因子の解析(河野担当)について研究を行ってきた。例えば、植皮やUVB等のストレス刺激を受容した表皮デンドライト細胞は、RANKL/RANKを介して抑制性サイトカインIL-10産生を誘導し、制御性T細胞を誘導して免疫抑制を齎すこと、或は、免疫系の樹状細胞が神経ペプチドであるドパミンを合成・放出し、T細胞上のD1様受容体を介してTh17細胞への分化を誘導すること等を解明した。その結果、多様な細胞においてデンドライトを起点とするストレス刺激の細胞内シグナルへの変換によるホメオサーベイランス機構が存在すること、デンドライトを起点とするシグナルネットワークが免疫系と神経系、さらに、皮膚や骨系の細胞との間に普遍的に存在することを解明した。以上、生体制御におけるデンドライトを起点とするシグナルネットワークの普遍性を明らかにすることにより、多様な系でのストレス制御に関与するデンドライトの役割を解明し、機能連携の枠組みを整理し、最終的には病態解明や治療応用への礎とするべく研究を目的としている。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件)
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