研究課題
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の特徴として、全身性疾患の併存が多いという特徴があり、COPDのphenotypingと密接な関係にある。これに関して、胃食道逆流(GERD)、体重減少、骨そしょう症との関連を明らかにした(1) COPDでは、GERD症状を有する割合が、正常群より多い傾向にあった。さらに、COPDにおいて、GERDの症状を持つ患者は、持たない患者に比較して有意に急性増悪の頻度が高いことを見出した。さらに、GERDの質問表であるFSSGはGERD症状を「酸逆流症状」と「食道運動不全症状」の2つの症状に弁別できるが、COPDの急性増悪の頻度は「食道運動逆流症状」と優位な相関を示し、COPDにおける増悪予防として食道運動改善薬の有用性が示唆された(Thorax,63(11),2008)。(2) CT画像におけるCOPDのphenotypeの指標としての気道壁厚(WA%:気道壁の気道断面に対する面積比)と気腫病変(LAA%:低吸収領域の肺野全体に対する面積比)と、体重(BMI)との関連を検討した。その結果、WA%はBMIと相関を認めなかったが、LAA%はBMIと有意に相関を認めた。気腫病変と体重とは相互に結果と原因の因果関係を持ち、栄養療法の重要性を示唆していると考えられた(Thorax,64(1),2009)。(3) 胸部CTで撮像されている胸椎・椎体の骨塩量(BMD)と気腫病変との関連を検討した。その結果、LAA%とBMDは有意な相関を認めた。さらに多重因子分析により、BMIとLAA%は独立したBMDの寄与因子であることが分かった。すなわち、COPDにおける骨粗しょう症は単に栄養不足のみでなくCOPD自体の持続炎症などの因子が関与すると考えられた(Chest,134(6),2008)。
すべて 2009 2008
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