研究課題/領域番号 |
18209030
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
松阪 泰二 東海大学, 総合医学研究所, 助教授 (50317749)
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研究分担者 |
市川 家國 東海大学, 医学部, 教授 (80317768)
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キーワード | 糸球体硬化症 / ポドサイト / 蛋白尿 / キメラマウス / SV40 / HIV-1 / トランスジェニックマウス / 慢性腎不全 |
研究概要 |
1.Podocyte傷害の進行性拡大機序を解明するために、一部のpodocyteだけが傷害されるようなキメラマウスを、Nephrin-hCD25とROSA-PLAPトランスジェニックマウスの初期胚を凝集する事により作成する方法を確立した。試験的に少数のキメラマウスを、イムノトキシンLMB2投与前後で解析した。LMB2投与前の腎臓のparaffin切片の耐熱性アルカリホスファダーゼ酵素(ALP)染色により、一部の細胞の細胞膜が明瞭に染色され、その他の細胞は全く染色されなかった。ALP-のpodocyteではhCD25が発現していた。hCD25+ podocyteの割合は、マウス個体と糸球体により差があった。PLAPの免疫電顕により、PLAP+または-のpodocyteの微細構造の観察が可能であった。これらの予備実験により、キメラマウスの個々のpodocyteの遺伝子型が判別可能で、解析が可能な事が示された。またLMB2投与後のキメラマウスの腎臓を解析により、ALP+のpodocyteの傷害を示唆する結果が得られた。 2.SV40Tをpodocyte特異的に発現誘導が可能なトランスジェニックマウスの腎臓を詳細に解析した。SV40Tを発現するpodocyteは、初期には正常な分化状態を保ったまま、核と細胞質の分裂を起こした。最も早期に出現する異常はalbumin尿で、albuminは増殖するpodocyteからリークする事が示された。さらにSV40Tの発現誘導を続けると、desminの発現やpodocinの発現減弱が起こり、その後に糸球体硬化症が発症した。これらの事から、albuminの漏出がpodocyte傷害の鍵になると推測された。 3.培養podocyteにHIV-1のvprとnefを導入する事を試みたが、発現量が十分でなく、さらに導入方法の改善が必要であった。
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