研究課題
1.イムノトキシン(LMB2)の注射によりpodocyte傷害の誘発可能なマウス(NEP25)と、全身の細胞がアルカリホスファターゼ(PLAP)で標識されるROSA-PLAPマウスから構成されるNEP25〓ROSA-PLAPキメラマウスを総計17匹作製し、解析した。(1)LMB2投与前と、LMB2投与9日後を比較すると、投与後に傷害されたpodocyteの割合は、投与前にLMB2のレセプター(hCD25)をもつ細胞の割合より大きかった。すなわち、本来LMB2のターゲットとなっていないpodocyteも傷害された事が示唆された。(2)LMB2投与4日後に、一部のPLAP陽性のpodocyteの、nephrinの発現が減弱していた。したがってpodocyte傷害の拡大は、極めて早期から起こっている事がわかった。(3)上記の現象は、LMB2投与前のhCD25の陽性率が高いマウス程、高頻度に認められた。すなわち、一次的に傷害されるpodocyteが多い程、二次的に傷害を起こすpodocyteが多い事がわかった。(4)LMB2投与前にhCD25陽性率の低いキメラマウスにLMB2を投与し、42日後に解析した。hCD25陽性のpodocyteはすべて消失していた。一部の糸球体は硬化していたが、その割合は、LMB2投与前のhCD25(+)podocyteを含む糸球体の割合より小さかった。すなわち、傷害されるpodocyteが少数である場合、糸球体は傷害から回復する事がわかった。2.Podocyte特異的にSV40Tの発現誘導可能なマウスの解析の結果、cell cycleに再入した大部分のpodocyteは初期にはおおむね正常な形質を示した。しかし、少数のmitosisをおこした細胞は、著しく傷害されていた。3.上記マウスから、独自の培養podocyteを樹立した。
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