研究課題
1.イムノトキシンの注射により一部のpodocyte傷害の誘発可能なキメラマウスの定量的解析をすすめ以下の結果を得た。(1)一部のポドサイトが傷害されると、当初傷害を免れたポドサイトも二次的に傷害される。(2)上記現象は、一次傷害の4日後に早くも出現する。(3)一次的に傷害されるポドサイトが多い程、二次的に傷害を起こすポドサイトが多い。(4)一次的に傷害されるポドサイトが少ない場合、ポドサイトを失った糸球体は傷害から回復しうる事がわかった。以上発見した現象は、強いポドサイト傷害時には急速に糸球体硬化を発症し、一方少数のポドサイトの脱落では糸球体が正常に保たれるという現象をよく説明する。2.上記1に関連して、HIV-1 vprトランスジェニックマウスの解析中に、ポドサイト傷害の拡大を示唆する現象を見いだした。このマウスのトランスジーンは、X染色体上にあり、雌マウスではlyonizationにより約半数のポドサイトで、トランスジーンが発現していなかった。しかしながら、雌マウスの中には、広汎な全節性硬化をきたしたものが存在した。この事は、約半数のポドサイトが異常であるだけで、全節性の硬化になる可能性を示唆した。3.ポドサイト傷害マウスの糸球体のRNAを単離し、microarrayにより発現profileを解析した。その結果、ポドサイト傷害1日目に、142の増加する遺伝子と、429の減少する遺伝子を見いだした。減少した遺伝子には、多くのポドサイト特異的遺伝子が含まれていた。変動を見いだした遺伝子の多くは、糸球体での発現状況が未知のものであった。
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