(1) ポドサイト傷害がポドサイト傷害をもたらす機序の解明 : 一部のポドサイトだけが傷害されるキメラマウスを作成し、糸球体の一部のポドサイトにはじまった傷害が、いかに拡大するかを明らかにする。具体的には、イムノトキシン(LMB2)の注射によりpodocyte傷害の誘発可能なマウス(NEP25)と、全身の細胞がアルカリホスファターゼ(PLAP)で標識されるROSA-PLAPマウスから構成されるNEP25〓ROSA-PLAPキメラマウスを作製し、LMB2投与後にPLAP陽性(hCD25-)ポドサイトがどのような運命をたどるかを観察する。 (2) ポドサイトの増殖と傷害の関係を解明する : 一般に生後に正常ポドサイトは増殖せず、ポドサイトの欠失は不可逆的な腎不全の要因である。我々は、ポドサイト特異的にSV40ウイルスのT抗原の発現を誘導可能なトランスジェニックマウス(SV40T/rtTA)を開発した。そのマウスに、ドキシサイクリン(DOX)を投与すると、ポドサイトは増殖したが、長期間のDOX投与によりかえってポドサイトは傷害された。が不可分なものか否かを検討する。によりポドサイト特異的にSV40Tを発現するトランスジェニックマウス()を解析した。 (3) HIV-1遺伝子によるポドサイト傷害の機序を解明する : 我々は先にHIV-1感染者の一部に発症するHIV-1関連腎症(HIVAN)は、HIV-1のvprとnefの2つの遺伝子が原因である事を示し、特に前者が重要である事を示した。また、HIVAN発症には、ポドサイトの増殖が関与すると信じられているが、そうではなくて形態異常が重要であるというdataを得ていた。そこで本計画では、培養ポドサイトを用いて、HIV-1遺伝子のvprとnefの細胞傷害機序、特に細胞形態への影響に関して研究する。
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