研究概要 |
1.FDCを使った感染実験 硬膜移植後のCJDプリオンの感染実験として、dura-CJD with plaquesプリオンをKi-129M/M, Ki-129V/Vマウスの腹腔内に投与し、75日後にプリオン感染の有無をIHCとWestern blotで評価した。Dura-CJD with plaquesの症例は、プリオン蛋白の遺伝子がいずれも129M/Mタイプであるにも関わらず、感染が成立したのはKi-129V/VマウスのFDCであった。つまり、129Vのプリオン蛋白を異常化させやすいことが明らかになった。 2.脳内投与による感染実験 FDCを用いた感染実験は、本年度ほぼ評価が確定したが、脳内投与による感染実験にはほぼ2年間の観察期間が必要である。本年度は、一部の結果の記載となる。Dura-CJD with plaquesは、129M/Mの遺伝子を持つ症例がほとんどであるが、ヒト化マウスであるKI-129V/Vマウスには、3例感染させてほとんど全てが300日で発病する。一方、Ki-129M/Mマウスに関しては、現在400日を越えて観察期間中でありここでも129M/M遺伝子の方が感受性が低いことを示している。 3.コドン129特異的抗体 Ki-129M/Mマウスに、ヒト型の129Vプリオン蛋白を、そしてKi-129V/Vマウスに129Mプリオン蛋白を免疫中である。ただ、それぞれのマウスの間ではたった1つのアミノ酸にしか違いがないため、新しくコドン129に加えて、コドン132をSerからPheに置換したマウス、つまり2カ所のアミノ酸が異なるマウスを2種類作製した。すなわち、Ki-129M=132FとKi-129V=132Fマウスである。現在は、Ki-129V=132FマウスはすでにGerm-line化に成功している。
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