研究課題/領域番号 |
18209033
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
門脇 孝 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30185889)
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研究分担者 |
植木 浩二郎 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教授 (00396714)
山内 敏正 東京大学, 医学部附属病院, 客員助教授 (40372370)
原 一雄 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50359600)
窪田 直人 東京大学, 医学部附属病院, 寄附講座教員(助手相当) (50396719)
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キーワード | 糖尿病 / アディポカイン / 受容体 |
研究概要 |
(1)糖・脂質代謝、動脈硬化におけるアディポネクチン受容体の機能・役割の解明:マクロファージ及び血管内皮細胞のモデル培養細胞においてアディポネクチンの作用が、AdipoR1・R2の発現増減により、どのように影響されるかを解析し、LPSやTNFα刺激による動脈硬化促進性の反応をアディポネクチンは抑制するが、この抑制効果はAdipoR1・R2の発現増により増加、発現抑制により低下することを見出した。全身のAdipoR1・R2ノックダウンマウスを、カフ傷害の系を用いてAdipoR1・R2の個体レベルでの意義を明にすることを試み、現在内膜肥厚の程度を評価中である。 (2)アディポネクチン受容体シグナル伝達機構解明:ノックダウンマウスの解析により、アディポネクチンの細胞内情報伝達におけるAdipoR1・R2の役割分担や経路の違いを明らかにすることを試み、野生型マウスにAdipoR1あるいはAdipoR2をノックダウンさせるアデノウイルスを感染させてAdipoRの発現を肝臓特異的に低下させたところ、耐糖能がそれぞれ増悪するのが認められた。AdipoR1の発現抑制ではAMPK経路が不活化され、糖新生に関わる分子の発現増加、ピルビン酸負荷試験で評価した糖新生の亢進、脂肪酸合成に関わる分子の発現増加と脂肪酸燃焼の低下を介して、肝細胞内中性脂肪含量の増加傾向を認めて、インスリン抵抗性が惹起されているのが認められた。AdipoR2の発現抑制ではPPARα自体の低下とその標的遺伝子である脂肪酸燃焼やエネルギー消費に関わる分子の発現低下と脂肪酸燃焼活性の低下を介して肝細胞内中性脂肪含量の増加傾向を認めた。さらに炎症性サイトカインや酸化ストレス消去に関わる分子の発現抑制とTBARSの増加傾向を認めてインスリン抵抗性が惹起されているのが認められた(Nature Medicine 13:332-339,2007)。 (3)アディポネクチン受容体の中枢における機能・役割の解明:我々は髄液中にアディポネクチンが存在すること、更に、アディポネクチンに中枢作用があり、直接レプチン作用を制御していることを発見した。さらにAdipoR1・R2が中枢神経系に発現していることを見出し、組み換えアデノウイルスを用いたRNAiの視床下部への投与により、この作用が主にAdipoR1を介していることを見出した(Cell Metab.in revision)。
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