研究課題/領域番号 |
18209037
|
研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
加藤 進昌 昭和大学, 医学部, 教授 (10106213)
|
研究分担者 |
佐々木 司 東京大学, 保健センター, 准教授 (50235256)
笠井 清登 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80322056)
山形 要人 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (20263262)
定松 美幸 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (90252387)
|
キーワード | 児童精神医学 / 環境変動 / 遺伝子 / 脳・神経 / 発生・分化 |
研究概要 |
自閉症における認知障害を明らかにするため、知的障害の無い成人広汎性発達障害(PDD)を対象にgap-overlap課題を用いて、視覚刺激へのサッケードに先行する脳の電気的活動を事象関連電位法で計測した結果、overlap条件におけるサッケードに先行する頭頂皮質付近の異常活動をPDDに認めた。また、健常成人を対象に1.5T MRIの撮像を行い、人格質問紙TCIにより協調性傾向を評価し、脳部位体積との相関を検討したところ、協調性と社会性脳回路の関連が見出された。細胞遺伝学的研究から有力候補領域と考えられる15番短腕領域(15q11-q13)を、SNPをマーカーとする関連研究およびa-CGH(comparative genomic hybridization)で検討した。その結果、Maternal Expression Domainでの関連可能性がcase-control比較で示唆された。a-CGHでも複数個所で微小欠損が検出され、日本人の自閉症における同領域の重要性が示唆された。今後男女差などの素因と脳体積・社会性との関係、関与する遺伝子の検索を進めたい。 動物実験では、脳の発達期に発現する新しい神経接着分子Arcadlinの解析を行い、Arcadlinがシナプス結合維持に重要なN-cadherinと結合することを見出した。さらに、TAO2-p38MAPK経路を活性化し、N-cadherinのエンドサイトーシスを誘導することによってスパイン密度を減少させるという新しいメカニズムを解明した(Yasuda, et. al.:Neuron 2007)。環境ホルモン作用のあるbisphenol Aの新生児期暴露が成長後に学習障害と多動をきたすことを発見し、その作用機序にエストロジェンα受容体が関与していることを見出した。この知見とPDD発症の男性優位性との関連を今後検討していく。
|