双極性障害患者および健常者の末梢血液より採血した血液を用いて、EBウイルスにより株化したリンパ芽球を、条件を一定にするため、一定回数の凍結保存を行った後、ストックより起こし直し、FBSおよびペニシリン、ストレプトマイシンを含有するRPMI1640培地にて、1週間以上培養した。培養終了後、細胞を回収し、回収した細胞について、順次RNAを抽出し、逆転写を行ってcDNAを作成し、ABI-9700HTを用いて、RT-PCR法により候補遺伝子の発現量を測定した。まずは、GAPDHを対照遺伝子として、小胞体ストレス関連遺伝子群の測定を開始し、全ての細胞の培養を終了し、各遺伝子の発現量の測定を開始した。 また、我々の作成した神経特異的変異型POLGトランスジェニックマウスを用いて、双極性障害関連遺伝子発現マーカーを探索する目的で、これらのトランスジェニックマウスおよび野生型マウスを断頭後、大脳皮質および海馬を摘出し、RNAを抽出した。逆転写後、蛍光標識cRNAを作成し、GeneChip(マウス430 2.0アレイ)を用いて遺伝子発現解析を行った。これらのデーターを解析し、トランスジェニックマウスにおいて発現量が変化する遺伝子を同定した。多くの遺伝子が変動していたため、双極性障害患者の死後脳解析で変動してい動していた遺伝子と共通な遺伝子に着目することで、双極性障害との関連が考えられる遺伝子を選び出した。これらの遺伝子についても、今後RT-PCR法を用いて、患者リンパ芽球における遺伝子発現定量を行う予定である。
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