研究課題
画像診断の進歩により早期の癌が高率に発見されるようになり、また放射線治療成績の向上、QOL重視の中で早期のがんに対する放射線治療の役割が急増している。しかし、治癒の可能性の高いこれらの癌に対する標準的放射線治療方法(照射野、照射方法、線量分割法、総線量、小線源との併用、化学療法との併用など)は確立していない。私どもの研究班ではすでに早期の頭頸部癌、食道癌、肺癌、乳癌、子宮頸癌、前立腺癌、悪性リンパ腫などを対象として、全国集計によるretrospectiveな解析と文献データによるエビデンスの収集を行い、その結果に基づいて標準的と考えられる放射線治療方法提示を行った(早期のがん治療法の選択-放射線治療-、金原出版)。その過程で標準的放射線治療方法確立のための様々な臨床試験が提案され、今回は臨床試験を全国多施設で実施し、早期のがんに対する放射線治療の領域で世界にエビデンスを発信することを目的とした。本年度は各種臓器がん毎に臨床試験のデザインを中心に検討した。良性脳腫瘍に対する分割定位照射法の第1,2相試験、中咽頭癌に対する化学放射線療法の第2相試験、下咽頭癌に対する救済手術を前提とした喉頭温存のための臨床試験、II期肺癌に対する定位放射線治療の第2相試験、食道表在癌に対する(1)外部放射線治療単独と腔内照射併用の第3相試験、(2)胸部中部食道癌を対象とした予防域を含んだT字形照射と局所のみの照射の第3相試験、腎臓癌に対する定位放射線治療の第1,2相試験、子宮頸癌に対する低総線量第2相試験、前立腺癌に対するIMRT(強度変調放射線治療法)による線量増加試験、肛門管癌に対する化学放射線療法の第1、2相試験、粒子線治療による臨床試験などについて検討し、一部はすでに臨床試験に入り、また一部はプロトコールの検証段階に入っており、また一部は登録症例数などを知る予備アンケート調査に入っている。
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