研究課題/領域番号 |
18209043
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
有井 滋樹 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50151171)
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研究分担者 |
稲沢 譲治 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30193551)
田中 真二 東京医科歯科大学, 情報処理センター, 特任助教授 (30253420)
寺本 研一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教授 (80197813)
中村 典明 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助手 (10372442)
田中 博 東京医科歯科大学, 大学院疾患生命科学研究部, 教授 (60155158)
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キーワード | オミックス解析 / cDNA Microarray / Array-CGH / 肝癌 / 再発 / ミラノ基準 / Aurora kinase B / 分子標的剤 |
研究概要 |
本研究では臨床検体を用いたオミックス解析による癌予防診断ツールの開発と、癌進展メカニズムの解析による分子標的治療の開発という2点を特徴とする。 肝癌の初回治癒切除症例を対象として、初回再発時の所見をミラノ基準によって分類し、初回切除組織を用いたcDNA Microarrayによる網鱒的発現解析、Array-CGHによる網羅的ゲノム解析、免疫染色法、単変量および多変量臨床病理学的解析を行なった。網羅的発現解析とWilcoxon順位和検定の結果、染色体パッセンジャーAurora kinase Bの遺伝子発現が、ミラノ基準外再発と最も高い相関を示した(p=0.000011)。免疫組織学的解析より、Aurora kinase B蛋白は癌細胞で高発現し、ミラノ基準外再発、門脈・静脈浸潤、腫瘍数、最大径、ステージおよび患者予後と有意に相関した。多変量解析によっても、ミラノ基準外再発と有意な相関を認めた因子はAurora kinase B発現のみであった(OR:22.74)。Array-CGH解析によりAurora kinase B発現はゲノム不安定性と有意に相関し(p=0.009)、肝癌の進展機構が示唆された。肝癌のオミックス解析によって、ミラノ基準外再発の予測因子としてAurora kinase Bを同定し、ゲノム不安定性による癌進展機構が示唆された。さらに、Aurora kinase B特異的阻害剤AZD1152を肝癌培養細胞株SK-Hep1に投与すると、容量依存的にcolony formationを阻害することを確認した。現在、マウス腫瘍モデルを用いて、in vivo効果について解析し、肝癌の分子標的剤としての評価を行なっている。
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