研究概要 |
1、くも膜下出血モデル脳血管平滑筋におけるPAR-1発現の時間経過の検討 ウサギ脳槽内に自家血3.0mlをday0およびday2に2回注入し、くも膜下出血(SAH)モデルを作成した。摘出した脳底動脈におけるPAR-1発現量の変化を、ウェスタンブロット法で経時的に定量した。自家血注入していないウサギ脳底動脈におけるPAR-1の発現量を100%とすると,SAHモデル脳底動脈のPAR-1発現量は3日目で約120%、5日目で約200%、7日目には約250%と、遅発性ではあるが有意に発現が亢進した。また14日目にはPAR-1発現量は170%となっており、7日目と比べると減少していた。この経過はウサギSAHモデルの脳血管攣縮の経過と一致した. 2、くも膜下出血モデルに対する選択的PAR-1拮抗薬の攣縮予防効果の検討 SAHモデル作成時に、選択的PAR-1拮抗薬(E5555)を自家血に混入し投与したモデルを治療群とした。非投与SAH対照群と比較すると、E5555(2μg/kg)治療SAH群の脳底動脈のトロンビンに対する収縮性は約20%程度に低下していた。また、E5555は用量依存性に、トロンビンに対する過剰収縮反応を抑制しており、0.2μg/kg以上のE5555で有意に過剰収縮反応を抑制した。一方、E5555(2μg/kg)治療SAH群の脳底動脈では、高K^+脱分極刺激およびendothelin-1刺激による収縮性に変化はなかった。さらに、この治療群の脳底動脈のPAR-1発現量をウェスタンブロット法で定量的すると、E5555治療SAH群では、SAHによるPAR-1過剰発現を約70%程度に抑制した。 これらの研究成果の一部は,第23回スパズムシンポジウム(平成19年3月22日,福岡)にて発表された.また,現在Strokeに投稿中である.
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