従来の定位脳手術では、患者の頭部を定位フレームで強固に固定し、体動が極めて制限された状態で手術が行われてきた。脳内微小電極によるニューロン活動の記録は、安静臥位でのごく単純な運動課題施行中に限られ、さらに頭部のピン固定による強いストレスにさらされた状態で行われてきた。 このため、記録された脳内ニューロン活動には、少なからずこうした影響が加わっていると考えられる。本研究では、フレームレス定位脳手術装置の精度を検証し、適切な使用環境を整備する。まず、フレームベースト手術との併用にて留置された電極のXYZ各方向のズレを単純レントゲン上で解析する。 脳内微小電位記録もフレームレスシステム下でマルチトラックにて行う。電位記録から確認された視床下核の横断距離からシステムの精度を検証する。 さらに、従来型の定位手術での発生が報告されている気道閉塞や空気塞栓の発生率についても調査し安全性に関する検討も行う。本研究により、定位・機能神経外科手術がより安全で精度の高いものになると考えられる。
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