研究概要 |
p63の転写共役因子として前年度までにGATA5,C/EBPβ, SOX9を同定したが、軟骨基質分子CLIPのプロモーター解析によってp63とSOX5, SOX6の応答領域が近接していることを見出し、さらにp63とSOX5,SOX6がタンパク複合体を形成することが明らかとなった。 p63のアイソフォーム別の発現パターン解析は、作出した抗体の特異性が悪かったため有意な結果が得られなかった。免疫組織染色に代わる手法としてmRNAを標的としたin situ hybridization法、およびReal-time RT-PCR法を用いて、軟骨細胞の各分化段階における各アイソフォームの発現パターンの解析を試みるべくプローブ、プライマーセットの準備を終えた。特にN末端の転写活性化ドメインの欠失したdeltaNタイプのp63が、PRX1などの間葉系分化初期の主要分子の転写を強く活性化することも明らかとなっており、deltaNp63が何らかの転写因子と複合体を形成するなどしてさらに多彩な役割を果たすことが推測される。 p63へテロノックアウトマウスを用いた変形性関節症モデルでは現在までに有意な結果は得られなかったため、現在コンディシショナルノックアウトマウス作成のためにターゲッティングベクターを準備した。またトランスジェニックマウスはα,β,γの各アイソフォームとも作出が終了し、現在それぞれの発生段階のおける機能解析を行っている。
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