研究課題
婦人科悪性腫瘍の多くは初期治療反応性は良いが、長期的予後は良くない。このため腫瘍免疫療法等の新しい治療法の開発が必要である。腫瘍は本来不可欠な自己寛容維持機構をうまく利用することで免疫系の攻撃から逃れていると考えられ、本研究で我々は、自己寛容維持のメカニズムを逆に利用して、これを一過性に抑制し、ある程度の自己免疫状態を惹起することによって強力な自己免疫を得るという新しい治療法を婦人科悪性腫瘍に対して導入することを目指している。A)婦人科悪性腫瘍の病態・予後に対する腫瘍免疫の影響の解析:本科研費を得て2年目の本年度は、まず、昨年度からの解析として卵巣癌において、免疫関連因子PD-L1,L2およびCD8+T細胞の腫瘍内浸潤に関して検討し、卵巣癌におけるPD-L1の発現は、CD8+T細胞の腫瘍内浸潤と逆相関し、かつ、予後不良因子となっていることを論文発表した。さらに本年は卵巣癌におけるNK細胞の役割に着目し、NK細胞表面の受容体であるNKG2Dに対するリガンドであるMICA/BおよびULBPの発現を卵巣癌において検討し、ULBPの発現はむしろT細胞浸潤と関連する予後因子であることを明らかにした。現在、投稿準備を進めている。B)一方、CD4+25+制御性T細胞に関する解析ではクロマチン免役沈降を利用して転写因子Foxp3と結合する遺伝子を検索した結果、Bone morphogenetic protein faimilyに着目し、制御性T細胞の発生におけるBMPの役割や、その機能維持の仕組み、さらに癌の免疫抑制における役割等に関して、包括毛期に解析を進めつつある。
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