研究課題
(1)マウス、ラット眼を用いた緑内障性神経細胞障害のin vitroでの解析:ラットRGC培養系を用いて圧負荷培養を行ったところ、大気圧、高眼圧負荷による細胞死は見られなかった。アポトーシスシグナル調整キナーゼ1(ASK1)の網膜神経細胞のアポトーシスにおける関与を検討したところ、ASK1ノックアウトマウスを用いた検討では網膜神経節細胞死にASK1が関与していることが判明した。(2)マウス眼を用いた緑内障性神経細胞障害のin vivoでの解析: in vivoでのRGC死を視神経挫滅および一過性虚血再還流モデルで評価することができた。共に4週間で80%の細胞が障害されることが判明した。(3)猿緑内障モデル眼の中枢神経系における機能及び構造の解析:片眼性慢性眼圧上昇モデルを作成した。レーザー処置眼の眼圧は処置後から1年間以上にわたり、対側の無処置の対照眼に比べ有意に上昇しており、処置眼の視神経乳頭には緑内障に特徴的な形態的変化の生じていることをHeidelberg Retina Tomographyにて定量的に確認した。(4)金魚とマウスでの視神経障害時に発現する遺伝子・分子の解析:金魚視神経再生中に発現が上昇する遺伝子としてトランスグルタミネース(TG)とインシュリン様成長因子-1(IGF-I)をクローニングした。両者は金魚では視神経損傷後RGCsに発現増加し、神経突起の伸長を促進した。ラット網膜では、両者共正常RGCsに多く含まれ損傷後速やかに減少した。そこで成熟ラットにリコンビナントTG、IGF-I蛋白を投与したところ著明に視神経再生を惹起した。(5)網膜神経細胞死における小胞体ストレスの関与:小胞体ストレス条件下においてスプライシングを受けるX-box binding protein-1(XBP-1)遺伝子の下流に蛍光蛋白質VENUS遺伝子を結合させた遺伝子を組み込んだ遺伝子改変マウスを用いた。ツニカマイシン投与24及び72時間後にXBP-1-venusの発現による蛍光が網膜において観察され,とくに網膜神経節細胞層及び内網状層において強い蛍光が認められた。(6)網膜幹細胞、間葉系幹細胞を用いたRGC再生の検討:骨髄幹細胞が組織学的検討および遺伝子発現の検討により錐体視細胞、桿体視細胞の両方に対して保護効果があることが判明し、骨髄細胞は細胞選択性の低い、非特異的な神経保護因子を発現している可能性が高いと考えられた。
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Neurochemistry International (in press)
Neurochemistry International, 2007, (in press)
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