研究概要 |
口腔癌細胞株(OSCC)のアレイCGH解析で検出した10q12ホモ欠失領域内に座位し、高頻度に発現抑制されているPRTEDC1を見出した.PRTEDC1強制発現により細胞増殖抑制効果を、また、同遺伝子の発現抑制では細胞増殖の亢進が確認されたことから、新規癌抑制遺伝子であると考えられた(Suzuki, et. al., Oncogene 2007)。また、OSCC細胞株18株における157種のmiRNAの発現解析にDNAメチル化解析を組み合わせた絞り込み、ならびにOSCC外科切除検体11例の詳細な解析から、癌特異的DNA過剰メチル化によって発現抑制され、かつ癌抑制遺伝子活性を有するマイクロRNAのmiR-137とmiR-193aを見出した.また、CDK6とE2FがmiR-137とmiR-193aの標的分子であることも明らかにした(Kozaki, et. al., Cancer Res 2008)。さらに、ロ腔扁平上皮癌患者の外科切除標本8例より約3万遺伝子を対象に、同一検体内の癌細胞、周囲上皮異形性細胞、正常細胞の三者間の発現パターンの相違について解析し、病態進展に関わる遺伝子の抽出を行った。得られた候補遺伝子群の階層的クラスタリング解析の結果、抽出された遺伝子は、癌もしくは上皮性異形成に特異的に発現異常を示す遺伝子である可能性が示唆された。さらに、上皮性異形成は正常上皮に類似した遺伝子発現パターンを示すグループと、癌に類似した遺伝子発現パターンを示すグループに分かれ、遺伝子発現パターンにより上皮性異形成を癌化しやすいタイプとしにくいタイプに判別できる可能性が示唆された。
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