研究課題
Apert症候群の発症の原因は線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR2)の細胞外ドメインであるIgIIとIgIIIの結合領域におけるS252WおよびP253Rの変異であるとされているが、この疾患の発症の分子細胞メカニズムには不明な点が多く残されている。そこでFGFR2 IIIc S252Wを受精卵に遺伝子導入したトランスジェニックマウス(以下IIIcと略す)と、FGFR2 IIIc S252Wから膜貫通領域および細胞内領域を欠く可溶型受容体のコンストラクトを遺伝子導入したトランスジェニックマウス(以下sIIIcと略す)を作製し解析を行った。各トランスジェニックマウスの頭蓋冠よりコラゲナーゼ消化によって骨芽細胞様細胞を単離培養し、アルカリフォスファターゼ(ALP)活性ならびに、石灰化能の測定のためアリザリンレッド染色を行った。また、骨芽細胞マーカーであるRunx2の発現レベルも比較検討した。IIIcの頭蓋冠由来のマウスの細胞は、WT由来の細胞と比較して、アリザリンレッド染色で強染され、ALP活性も亢進した。一方、sIIIc由来の細胞は、アリザリンレッド染色にほとんど染色されずALPも低値であった。この両者を交配して得られたマウスでの頭蓋冠由来のマウスの細胞は、IIIcの頭蓋冠由来のマウスの細胞と比較して、アリザリンレッド染色で淡染され、ALP活性も低値を示した。また。IIIc由来の細胞では、Runx2の発現レベルが上昇しているのが認められた一方、sIIIc由来の細胞ではその発現レベルが抑制されているのが認められた。sIIIc由来の細胞を解析し、可溶型FGFR2の効果を明らかにすることは、頭蓋冠縫合部早期癒合症を主症状とする先天性疾患であるApert症候群、Crouzon症候群などに対する新しくかつ安全で非侵襲的な治療法の開発につながると期待される。
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