研究分担者 |
永田 俊彦 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究所, 教授 (10127847)
安孫子 宣光 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70050086)
山崎 和久 新潟大学, 教育医学院・歯学系, 教授 (00182478)
長澤 敏行 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学研究科, 助教 (90262203)
日野 孝宗 広島大学, 大学院・医歯学研究科, 助教 (20274102)
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研究概要 |
本研究は,指尖からの微量採血による血清抗体価測定を用いた歯周病細菌感染度の判定法を確立するために,1.既存のサンプルバンク(東京大学内に設置)から購入した歯周病患者の血清(750検体),および2.歯周病患者の指尖から採血した微量血漿(治療前後:1100名,計ll歯学部),におけるIgG抗体価をELISA法で測定し,歯周病の臨床症状との相関を調べることを軸に実施するものである。平成19年度の研究実績を以下に示す。 1.既存のサンプルバンク(バイオバンクジャパン)から購入した歯周病患者の血清中のIgG抗体価測定解析歯周病患者750名の血清における歯周病細菌に対するIgG抗体価を測定,統計解析を行った。 1.「年齢」で分類されたカテゴリー間における血清IgG抗体価の値は,互いに有意差を認めなかった。 2.40歳以上の患者血清(N=707)において,「BOP」で分類されたカテゴリー間における血清IgG抗体価の値は,互いに有意差を認めなかった。 3.上記2の患者血清において,4mm以上の歯周ポケット深さの割合が30%以上の群(N=217)において, 1)Pgに対する血清IgG抗体価は,10%未満(N=263)と10-30%未満(N=207)の群に比較して有意に高かった。 2)Aaに対する血清IgG抗体価は,10%未満(N=263)の群に比較して有意に高かった。 3)Ecに対する血清IgG抗体価は,10%未満(N=263)の群に比較して有意に低かった。 2.歯周病患者の指尖から採血した微量血漿中の歯周病菌に対するIgG抗体価の測定(中間報告)岡山大学医学部・歯学部附属病院をはじめ,全国ll大学の附属病院を受診した慢性歯周炎患者(Pg:109名,Pi:336名,Aa:287名,Ec:328名)を対象とした。指尖血漿は,初診時に市販のデバイスキット((株)リージャー)を用いて採血したものを使用した。非歯周病被験者はボランティア15名とした。 1.Pgに対する血漿IgG抗体価は,歯周病患者群(68.62)の方が非歯周病群(18.07)に比べて有意に高値を示した(P<0.0001)。 2.Pi,AaおよびEcに対する血漿IgG抗体価は,有意差はないものの,歯周病患者群(Pi:177.13,Aa:152.80,Ec:173.59)の方が非歯周病群(Pi:150,77,Aa:126.70,Ec:137.27)に比べて高値を示した。 以上の研究成果は,歯周病菌の感染度の指標であるIgG抗体価が,歯周病の重症度と相関し,将来の歯周病診断に有用であることを示唆するものである。
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