1. 「看護実践能力自己評価尺度(CNCSS)」(64項目)を用いて昨年度実施した調査結果の分析作業を引き続き実施し、2つ学会へ4題の発表を行った。調査結果より、看護系大学卒業看護師の実践能力の発達の様相、内容を明らかにすることができた。このことより、本研究で開発したCNCSSは看護実践能力を測定する尺度としての活用に耐えることがより明らかになった。本調査経緯は、「看護実践能力の発達過程と評価方法に関する研究-臨床経験1年目から5年目までの看護系大学卒業看護師の実践能力に関する横断的調査-」としてまとめ、報告書を作成した。 2. 昨年度実施した経験1年目の新人看護師の2年目の継続調査を行った。調査対象は199名で120名の返送があった。昨年継続調査を承諾した1年目のデータと今回得られた2年目のデータを集計し、その比較分析を行った。 3. 質問紙を用いた量的縦断研究と並行して、昨年度より22名のインタビューデータを中心とした質的縦断研究を実施し、その内容を分析した。さらに、21年度に2年目の継続調査としてインタビューを実施して、その分析を行った。量的な研究だけでは、明らかにならない看護実践能力の側面をこの調査によって明らかにすることができた。 4. 開発した尺度(CNCSS)の信頼性を高めるために実施を予定しているフィンランドで開発されたNCSとイギリスで開発されたEQT(共に看護実践能力を測定する尺度)のback translationの検討を引き続き行い、調査実施前の内容妥当性の検討を行った。この調査との互換性の検討は、EUまた多くの先進国でのコンピテンスベースの共通の看護実践能力の明確化を促進し、今後の国際的な評価に貢献するものと考える。
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