研究概要 |
本年度は,インド洋モルディブ共和国にて,前年度に引き続きマーレ島北東部で発生した基盤サンゴ礁崩壊現場での潜水調査を実施し,サンゴ礁構造の記載と試料採取を行った。採取した試料は岡山大学にて電子顕微鏡による観察および元素分析を進めるとともに,東京大学にて12試料のAMS年代測定を行った。モルディブ共和国ではVillingili島,Hulhumale島にて洲島とサンゴ礁の断面測量,サンゴ礁石灰岩の試料採取をおこなった。モルディブ諸島にて採取したハマサンゴについては,過去の海水温など海域環境の変動を復元するため産業総合研究所にて酸素・炭素同位体比を測定した。 また,本年度はインド洋大津波でモルディブ諸島が受けた被害について,43島での調査結果をまとめ公表した。環礁と洲島の地形に応じて防災効果が異なることが明らかになった。環礁で津波がどのような挙動をするのかは未だ記載されておらず,太平洋の環礁立国の防災に役立てることが可能である。 太平洋地域では,マーシャル諸島共和国マジュロ環礁の航路用水路および礁原海側の浚渫跡水中露頭より前年度に採取したサンゴ試料,礫質ビーチロックの試料のうち13試料のAMS年代測定を東京大学にて行った。さらに,南太平洋・ツバル国フナフティ環礁にて現地調査を行い,洲島とサンゴ礁の断面測量を行うとともに,サンゴ礁石灰岩の試料採取も行った。現在,電子顕微鏡による観察および元素分析,年代測定へむけての準備を進めている。 本年度は岡山大学の電子顕微鏡に低真空装置を導入し,非導電性試料である石灰岩や未固結堆積物をそのまま観察・分析できる装置にした。このため上記の電子顕微鏡による試料観察・元素分析を進めることが可能となった。
|