研究概要 |
本年度は,インド洋モルディブ共和国にて洲島の基盤をなすサンゴ礁の地盤構造を明らかにするためのオールコアボーリングを行った。マーレ島南部にて53.5mの掘削を行い,コアを採取した。コアは岩相記載とともに年代測定準備,電子顕微鏡による試料観察・元素分析の準備を行っている。また,本研究の規地協力機関である現地政府環境リサーチセンターが島内4カ所にて行った試錘結果と,試錘中に採取した試料の一部を分析試料として得たため,これについても現在,岩相記載とともに年代測定準備,電子顕微鏡による試料観察・元素分析の準備を行っている。これらによって,マーレ島を横断する地質断面構造を提示する準備が整った。 また,昨年度採取したVillingili島,Hulhumale島におけるサンゴ礁石灰岩の試料について電子顕微鏡による観察・元素分析を行った。さらに,モルディブ諸島より採取したハマサンゴについて,産業総合研究所にて酸素・炭素同位体比の測定と骨格中の微量元素の測定を継続して行っている。これによって同海域における過去の海水温など海域環境の変動を復元することが可能と思われる。 太平洋地域では,マーシャル諸島共和国マジュロ環礁の航路用水路および礁原海側の浚渫跡水中露頭より採取した試料について電子顕微鏡による観察・元素分析を行った。昨年度実施したAMS年代測定結果とともに,マジュロ環礁におけるサンゴ礁地盤の構造的特徴とその形成過程が明らかになってきた。 本年度は,本研究課題中で最も懸案であったモルディブ諸島におけるサンゴ礁地盤構造解明にむけての試料採取が整ったこと,そして太平洋の環礁におけるサンゴ礁地盤構造と形成過程を明らかにすることができたため,太平洋とインド洋中央部における環礁地盤構造の対比が可能となってきたことが重要な成果である。
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