研究計画に従って、18年6月に本年度の研究について打ち合わせを行い、7月〜9月の期間に本研究課題に関わる学術調査をパナマ、チリ2カ国において、武井がパナマ、チリ、北森と研究協力者の内藤(貧困者調査担当)がチリで、それぞれの担当課題について実施した。パナマでは、武井がパナマシティ内および郊外の貧困層居住区を訪れ、調査対象地の選定を行い、郊外のベラクルス地区のリーダーと接触を持つとともに、在パナマの共同研究者たちとの間で議論を積み重ねた。また、厚生省障害担当部局との情報交換においても積極的な協力関係を築くことができた。チリにおいては、WHO/PAHOの障害問題担当者、厚生省の障害問題担当主任、La Florida区、La Pintana区を管轄する首都圏南部衛生局、および同区の区立診療所との持続的協力関係が確認され、また先住民組織Kallfulikanとの間でも調査に関する合意が形成され、家庭訪問等の調査活動が開始された。在チリの共同研究者たちとの間でも数度にわたって会合し、調査の目的、方法論等について十分な議論を行い、研究組織としての基礎固めができた。北森は、今回は滞在期間中、武井と共同で調査にあたり、チリにおける貧困、先住民、障害等の問題の現状把握に努めた。研究協力者の内藤は、部分的には武井、北森と共同の調査にも参加する一方、貧困層調査を主要課題として、社会心理学者の助言を得ながら地元ソーシャルワーカーの協力を得て、サンラモン区での家庭訪問調査を行った。帰国後、本務との関係で全員での会合ができなかったが、1月(武井と内藤)と3月(武井と北森)に個別的会合を持ち、調査資料の分析検討と、来年度調査の課題の確認を行った。さらに、武井は、在パナマ、在チリの共同研究者たちと定期的に情報交換を続け、3月末には両グループから今年度の調査報告が寄せられ、現在、この報告を検討中である。
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