近年、アフリカ中央部の熱帯森林帯に居住する狩猟採集民・狩猟農耕民は、紛争、開発、自然保護運動などの外部からの圧力を受けて、対外的な自立性や民族的アイデンティティの覚醒の契機を持たないまま、マイノリティ化しつつある。本研究では、社会、生業、儀礼、土地利用の諸側面の現況についてそれぞれの分野の研究者がアフリカ熱帯森林帯の諸地域で現地調査を実施し、具体的事例を精査するとともに、アフリカの他の地域の事例を調査して比較考察をおこなう。このような作業によって、アフリカ熱帯森林帯の先住民社会が直面している社会文化的周縁化の共通性と特殊性を抽出し、周縁化を産み出し、民族的アイデンティティの存立を脅かしている政治文化的メカニズムの詳細を明らかにする。
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