研究課題
最終年度として7名が調査の仕上げと今後への展開を意識して調査を実施し、一層深みのある成果をあげた。野村はイタリアの精神病院の地域への開放に注目し、それを閉鎖ホームからのストリート化であり、患者中心の新たなコミュニティ構築であるとみる。植村はパリのマグレブ系移民地区での戦術的な生活実践に、異質な文化の共在をリベラルな社会の証明として活用する上からの政治との対抗的かつ補完的な関係を見出す。関根はロンドンの南アジア系移民地区で、衣食、音楽、映画、儀礼宗教などを通じて、まずは(1)南アジア系レベルと(2)よりローカルなレベル(グジャラート、タミルなど)の二重のアイデンティティの併存と、さらに英国人としてのアイデンティティも若い現世代では浸透し、複雑な屈折状況を作り出すと同時に、それが広い分野でトランスナショナルな創造力を発揮してことを見出す。また関根は、こうした従来の移民に加えて、特にEU加盟国の拡大以降、西欧への東欧からの移民増大の現実は、流入するネオリベー色の西欧都市と流出させる東欧のポスト社会主義の都市・村落の双方の景観を急激に変貌させていることを東欧諸都市の観察から示し、ヨーロッパが全域的にストリート化しているとする。朝日はカンボジアで、在来絹織物業の市場経済化以降の分業化の深化の在り方から、今日の農村社会の流動化を一種のストリート化現象として把握した。森田はインドネシアで、今日のローカルな場での「貧困」を、匿名的で大規模な、トランスナショナルな政治経済的ネットワークとの関係において生じる、ストリートの未確定な現象としてとらえる。関口もまた、アイヌの表象をめぐって、現在のナショナルやグローバルの政治力学とローカルな現実の間で引き裂かれる未確定領域を探求する。特筆すべきは、パリの移民社会空間を研究してきた人類学者M.ザルツブルンを招請し、総括的な研究集会を催し、国際共同研究の道を拓いた。
すべて 2010 2009 その他
すべて 雑誌論文 (30件) (うち査読あり 15件) 学会発表 (19件) 図書 (6件) 備考 (1件)
国立民族学博物館調査報告:人類学的比較再考 国立民族学博物館
ページ: 249-282
グローカリゼーションと共同性(グローカル研究叢書1) グローカル研究センター(印刷中)
歴史と民俗 第26号
ページ: 53-82
ページ: 8-14
知の大洋へ、大洋の知へ:太平洋島嶼諸国の近代と知的ビッグバン 彩流社
ページ: 167-202
朝倉世界地理講座:大地と人間の物語:第15巻オセアニア 朝倉書店
ページ: 132-146
オセアニア 日本オセアニア交流協会
ページ: 1-3
Field+ No.3
ページ: 26
月刊「地理」 55-2
ページ: 18-25
月刊「地理」 55-3-3
ページ: 62-68
奈良女子大学地理学・地域環境学研究報告 VII
ページ: 31-42
KAWADE道の手帖 レヴィ=ストロース 入門のために 神話の彼方へ 河出書房新社
ページ: 135-139
夜食の文化誌 青弓社
ページ: 75-108
現代思想 38巻1号
ページ: 146-153
グローカリゼーションと共同性(グローカル研究叢書1) グローカル研究センター
ページ: 1-42
グローカリゼーションと共同性(グローカル研叢書1) グローカル研究センター
ページ: 245-274
国立民族学博物館調査報告90:人類学的比較再考 国立民族学博物館
ページ: 125-146
Theory, Culture & Society Vol.26(4)
ページ: 147-54
世界中のアフリカへ行こう 岩波書店
ページ: 40-59
神奈川大學評論 第63号
ページ: 89-101
海と非農業民:網野善彦の学問的軌跡をたどる 岩波書店
ページ: 207-218
アフリカのことばと社会:多言語状況を生きるということ 三元社
ページ: 161-187
オセアニア学 京都大学学術出版会
ページ: 334-344
国立民族学博物館調査報告 81
ページ: 231-259
人文地理 61-4
ページ: 63
文化人類学 74-2
ページ: 262-271
社会学ベーシックス 第7巻 ポピュラー文化 世界思想社
ページ: 63-72
ページ: 272-292
日本常民文化紀要 第27輯
日本常民文化紀要 第28輯
ページ: 226-256
http://www.transnationalstreet.jp/