研究課題
研究代表、研究分担者に11名の連携研究者、6名の研究協力者を加え、南アジアの都市の地域的変異と共通性をもたらす要因を共通テーマとして現地調査を続けた。地域的変異の生成には都市成立時の権力との関わり、および当該地域においてドミナントな宗教という2つの要素が大きく働いている。これらは各都市の旧市街におけるローカリティのあり方に今も大きく影響している。一方、都市郊外では、近代的な都市計画の介入によって地域的特性が見られなくなっており、その生活経験においては、伝統と近代性との葛藤が顕著に見られる。これが南アジアの都市における暴力とナショナリズムの基盤と考えられる。本研究プロジェクトの参加者の現地調査の継続によって、これらの知見がより実証的に把握できた。一方、今年度は、消費社会化や人のグローバルな移動が南アジアの都市生活に及ぼす影響に関しても研究が進展した。三尾が中心となって進めた刺繍工芸の生産技術と商品化の変遷の研究からは、グローバルな商品流通が南アジアの都市や村落の暮らしを根底から変えつつあることが実証的に捉えられた。在外インド人のネットワークの拡大と活動の活発化は、インド本国の都市の消費生活、都市計画にも大きなインパクトを与えている。杉本は、ファッションや映画などのインド発のポピュラーカルチャーの流行がインド人のグローバルネットワークに支えられることを明らかにした。三尾と杉本両名が講師となった国立民族学博物館学術講演会『激動するインド世界-人びとの暮らしから読みとく』(平成21年3月19日毎日新聞オーバルホールにて開催)においても本科研の研究によって得られた知見の一端が公開された。
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