研究課題
計画最終年度にあたる今年度は、昨年度までの現地調査によって得られたデータを研究代表者以下、研究分担者、11名の連携研究者、6名の研究協力者各自が整理・検討し、先行研究に照らしながら、成果の取りまとめを行った。また、研究代表者の三尾は、インド・ラージャスターン州に2度赴き、のべ4週間にわたって補充的な現地調査を行った。調査成果の全体としての取りまとめには、並行して進めてきた国立民族学博物館共同研究「南アジアにおける都市の人類学的研究」を活用し、このプロジェクトでの研究会の場での討論を通じて、各自の到達点をより深化させた。各自のデータ整理と相互の討論の成果を、年度末に本研究の成果報告書『南アジア地域における消費社会化と都市空間の変容に関する文化人類学的研究』として出版した。ここには総計14本のオリジナル論文が収録されている。また本研究のメンバーは個々に調査成果を活発に公開している。発表された成果の内容は多岐にわたるが、その要点は下記の4点にまとめられる。即ち(1)南アジアの都市性は住民構成のヘテロ性や経済交換システムの中心性というよりは、宗教的な中心性を重要な契機として成立している。(2)歴史的なイスラーム世界の影響の深浅によって、南アジアの南部と北部で都市の基層構造に大きな差異がみられる。(3)これらの南アジアの都市の特性は、近年のグローバルな人・モノ・情報の環流の中で姿を消しつつあり、それと並行してローカリティが失われる傾向がみられる。(4)これに対抗するようなローカリティの再構築の動きが顕著となっているが、その際の重要な根拠がまた住民の宗教的実践に求められる傾向がある。研究成果は今後さらに上記の共同研究プロジェクトに基づく国際シンポジウムや英文出版等によって国際的に公開してゆく予定である。
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すべて 雑誌論文 (38件) (うち査読あり 15件) 学会発表 (5件) 図書 (1件) 備考 (1件)
地域創造学研究(奈良県立大学研究季報) 20(3)
ページ: 127-155
『南アジア地域における消費社会化と都市空間の変容に関する文化人類学的研究(科学研究費補助金[基盤研究(A)]研究成果報告書)』(三尾稔(編))(国立民族学博物館)
ページ: 1-23
『人類学的比較再考(国立民族学博物館調査報告90)』(出口顕・三尾稔(共編著))(国立民族学博物館) 90
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Studies in Nepali History and Society 13(2)(刊行予定, 印刷中)
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地域研究 10(2)
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『南アジア地域における消費社会化と都市空間の変容に関する文化人類学的研究(科学研究費補助金[基盤研究(A)]研究成果報告書)』三尾稔(編)(国立民族学博物館)
ページ: 99-125
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広島修大論集 50(2)
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季刊民族学 131
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『ジェンダー史叢書第8巻 生活と福祉』(赤坂俊一・柳谷慶子(編))(明石書店)
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Ethnic Activism and Civil Society in South Asia(David Gellner(ed.))
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民博通信 128
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http://www.minpaku.ac.jp/research/sr/18251016.html