研究課題/領域番号 |
18252002
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
北村 歳治 早稲田大学, 国際情報通信研究科, 教授 (00329153)
|
研究分担者 |
高橋 謙三 福井大学, 工学部, 教授 (50377470)
長谷川 奏 早稲田大学, 総合研究機構, 准教授 (80318831)
|
キーワード | イスラム / IT / 先端技術 / 教育 / 宗教見解 / グローバリズム |
研究概要 |
平成19年度の繰越金による研究では、エジプトのアズハル大学を対象にした調査を行った。アズハル大学は、世界で最も古く設立された(10世紀)イスラム学の世界的権威である一方で、1960年代以降は、総合大学として開かれた教育機関としての責務も担っている。調査の視点としては、1)歴史を経ても変わらないアズハルの伝統とは何であり、ラディカルなイスラム主義の考え方へはいかなる対応を考えているか、2)グローバリズムの波や先端技術の発達に伴い、アズハル大学が取り組んでいる新しい教育の形は何か(外国語教育、e-learningの実践等)、3)海外からの留学生の受け入れに対する、あるいはアズハルの海外展開における戦略は何か、という主要3点に焦点を当てた。アズハルが発するファトワ(宗教見解)が東南アジア世界に齎すインパクトおよびアズハルが分校を展開する予定地の調査は、2008年8月に研究代表者を含む3名により、マレーシアのマラヤ大学の協力を得て調査が行われた。またこれらの取得情報を基盤にしたエジプトのアズハル大学との意見交換は、2009年3月に、研究分担者および研究協力者の2名が、アズハル地区およびマディーナト・ナスル地区のキャンパスを訪れた。調査の結果、学生たちの多くがインターネット等のITによってグローバルな情報化の波に晒されている現実がある一方、先端技術が齎すさまざまな社会問題(一例として、臓器移植の可否、ヒューマノイドやクローンの利用、核の使用に対する倫理等)に対する宗教的見解に関しては、学生たちにも説明する体制が保持されている点や、またアズハル大学生総数の1/3以上を占める女子学生への質の高い教育体制と、大学院生以上へは英語によるイスラム教育を行う体制の確立をめざし、新たなイスラム的な知の普及に努めている同大学の姿等が浮き彫りになった。これらの研究成果は、現在とりまとめが行われている。
|