研究課題/領域番号 |
18252002
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
北村 歳治 早稲田大学, 大学院・国際情報通信研究科, 教授 (00329153)
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研究分担者 |
佐藤 次高 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10012981)
桜井 啓子 早稲田大学, 国際教養学術院, 教授 (70235216)
保坂 修司 近畿大学, 国際人文科学研究所, 教授 (80421220)
長谷川 奏 早稲田大学, エジプト学研究所, 客員助教授(専任扱い) (80318831)
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キーワード | イスラム / IT / 科学技術 / 系譜研究 / 広域研究 / 同質化 / 多様化 / 社会 |
研究概要 |
本研究は、IT等の先端的な科学技術の利用がもたらす影響とその反作用等に着目してイスラム地域の分析を行い、今日のイスラム問題の展望を試みることを目的とする。そこで、1)イスラム世界が支えていた科学技術や情報交流の系譜を辿る、2)先端科学の進展が引き起こす生活様式の同質化と多様化を社会・経済・文化問題の基層の動向から探る、という2点を研究の主軸にする。1)系譜研究に関しては、(1)イスラム三彩陶成立の過程の中でも特にローマ・ビザンツ時代の生活雑器分析とイスラム文化形成論の研究が進み、(2)文献資料を対象にした製糖技術の実態を解明に関しては、これまでの研究の総合が行なわれた。さらに国内のシンポジウムを通して、初期イスラム時代の貨幣経済の意義や、中世イスラム時代を代表する史家の経済・教育論にみられる先見性が論じられた。2)広域研究に関しては、2008年8月にマラヤ大学においてワークショップを開催し、日本側からは計7名の研究メンバーが参加して現地で意見交換を行なった。ここでは、特に技術、金融・経済、教育、文化の分野に焦点を当て、前マハティール政権の時代に急速に進められた経済活性化がマレーシア社会に与えた影響と、現代社会における先端技術とイスラム問題の動向を把握した。この点に関しては、さらに国内のシンポにおいて、マレーシアのイスラム社会がめざす課題である<イスラーム的「知」の形成問題>がさらに討議された。その他に、研究分担者・協力者による個別研究では、エジプトにおけるミイラ製作の断面がイスラム薬事史の観点から論じられ、インドネシアとマレーシアの両国においては、新たなジェンダー論形成の動向や女性の進路形成に関する最新の教育問題が扱われた。この他にも、イスラム圏(特にトルコ)におけるナショナリズムの発揚が文化面に与えた影響と、日本とイスラム圏を結ぶ影響関係が近代の歴史背景と結びつけて分析された。
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