本研究は、IT等の先端的な科学技術の利用がもたらす影響とその反作用等に着目してイスラム地域の分析を行い、今日のイスラム問題の展望を試みることを目的とする。そこで、1) イスラム世界が支えていた科学技術や情報交流の系譜を辿る、2) 先端科学の進展が引き起こす生活様式の同質化と多様化を社会・経済・文化問題の基層の動向から探る、という2点を研究の主軸にする。具体的には、1) では文献史学と物質文化研究との総合的な立場から、イスラムの技術革新の史的展開を考察し、2) では日本サイドにおいて既に根付いてしまっている諸前提の検証、現地の調査、現地研究者との情報交換と討議等を通しての動向分析を初年度からの3年間に亘って行い、4年目に3年間の調査成果を総合する。
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